|
自分史は事実であり、フィクションではありません。しかし、数十年に及ぶ人生を数百枚程度の原稿用紙に全部書き記すには無理があります。つまり、自分の生き方、来し方を通じて何を読者に訴えたいのか、伝えたいのかという「テーマ」が必要となってきます。
テーマを頂点として話は進んでいきます。その他の部分はたどり着くまでの脚色でしかありません。「テーマは山の頂上であり、執筆とはそこにたどり着くまでの登山のようだ」という言葉もあります。たとえ、10ページ程度の掌編でも数百枚に渡る長編でもテーマ自体はひとつです。
そして漠然とした言葉よりもより具体性を持たせた方が表現はしやすくなります。「愛」や「人生」というものよりも「人間愛」や「わたしの人生」、もっと突き詰めて「わたしが思い出の人たちに送った愛情」とか「わたしが長い入院生活から得た人生感」と言う風にです。前者であれば、どのような愛情を送り、送った人からどのような反応を受け、そしてどのような結果が生まれ、そして作者自身はどのような考えを持つに至り、今後どうするか、そして多くの人に何を知り、感じて欲しいかを事実に基づき記す。
過ぎ去りし日々の中で感じ得たもの、誰かに是非とも知って欲しいもの。その一つだけを選択し、言葉を紡いで下さい。
|